八女市矢部村 地図にない廃隧道

八女市矢部村の地図にない廃隧道 #

探索日 #

  • 探索日 : 2019年12月
  • ページ最終更新日 : 2022年5月28日

八女市矢部村のトンネル #

矢部川の支流、樅鶴川の上流へとバイクで走っていたところ遭遇したトンネル。

隧道全景 「トンネル」よりも「隧道」と呼ぶほうがしっくりくるような荒々しい素掘りの姿。

普段利用している地形図やGoogleマップには記載の無い隧道であり、 初見のインパクトはそれなりに大きかった。 そして現道の隣には旧道らしき別の隧道が口を開けていた。 このページでは、現道の隧道を「現隧道」、旧道の隧道を「旧隧道」と表記する。

トンネルの位置 #

トンネルは樅鶴川に沿った道(市道樅鶴線?)の途中に位置する。

隧道MAP
▲ 現道と旧隧道の位置関係

現道と旧隧道は上の地図のようになる。
(ギャクなどではなく本気で描きました。下手くそで申し訳ない)
樅鶴川はこの付近で蛇行しており、道路はここをトンネルでショートカットしている。 後ほど説明するが、旧隧道に接続しているはずの道は全く確認できなかった。 旧隧道だけがポツンと存在しているのである。

隧道についての情報 #

平成27年の福岡県のトンネル点検結果 には 「クサギ原トンネル」として市道樅鶴線のトンネルとして記載がある。 トンネル延長や地名などから、これが現隧道を指していると考えられる。 全国のトンネルを網羅した全国道路トンネルリストの福岡県のページ にも 「クサギハラズイドウ」として記載があるが、こちらも建設年などは不明である。
また旧隧道に関してはインターネットで一切の情報を得られなかった。

樅鶴川下流の落合集落(秋伐方面からの県道57号線が樅鶴川と合流する辺り)の方によれば、

・名称は不明だが、トンネルは2つあった(現隧道と旧隧道の事だろう)
・どちらも交通用で車が通れるように新しい方を開削
・古い方は人の手によって開削された
・話を伺った住民の方が落合集落にやってきた昭和37年には、既に両方の隧道が存在していた

とのこと。
少なくとも両方の隧道は昭和37年以前の建設であるという事がわかる。
トンネル上流にはかつて樅鶴という集落があった。
家は2,3軒ほどの小集落で現在は廃村となって久しいが、 一方でこの樅鶴川上流地帯はかつて官山に指定され、現在も一帯は国有林となっている。 前述の方の話でも、大昔には林業関係のために樅鶴には数十軒の家があったとの事である。 個人的には木材の伐採や運搬の利便の為に開削されたものではないかと推測している。


現道の隧道 #

まずは現隧道から。

現道の隧道 下流側 下流側からみた現隧道。 奥行きはそれほどない短い隧道である。

現道の隧道 上流側 上流側からの見た目。 手前にあるのは大きさ比較用のリュックサック。

旧道の隧道 #

旧道の隧道 下流側 下流側から見る旧隧道。 樅鶴川はこのあたりで深い淵となっており、旧隧道の出口はすぐ崖である。 現道とは直線距離にして5mも離れていないが、 落下時のリスク(たぶん助からない)を考えて上流側からアクセスした。

旧道の隧道 上流側から 現道の上流側からみた旧隧道(赤丸のあたりに坑門が口を開けている)。 …なのだが旧隧道へと続くはずの道は一切見当たらなかった。

旧隧道 上流側坑門 結局、川を渡って上流側の坑門前にやってきた。 河床と隧道の路面(?)にはある程度の高低差があり、 それに続く路盤は全く確認できない。

旧隧道 内部 旧隧道の内部。 路面も素掘りのままであった。

旧隧道 路面 隧道内部には所々水が溜まっていた。

隧道壁面の穴 隧道壁面ではこのような穴を見つけた。 ちなみに現隧道でも同じような穴を数か所発見できた。 トンネル建設には疎いのだが、ダイナマイト発破の跡であろうか。 (間違ってたらごめんなさい)

何らかの土台 旧隧道の下流側坑門付近には、写真のような構造物があった。 何らかの石碑か石仏が備え付けてあったように思えるが、 現在は下部の土台しか残っていない。

おまけ #

おまけ1 山奥でタピってみた😆😆👍👍

おまけ2 シュールレアリズム